北海道や東北地方の降雪地域の自動車には、寒冷地仕様車と言う特別な装備が付いている自動車があるのはご存知ですか?普通仕様車と何が違うのか、寒冷地仕様車の選び方や寒冷地におすすめの車種などを詳しくご紹介します。
何が違う、寒冷地仕様車と普通仕様車
寒冷地仕様車とは、降雪地帯や厳寒地でも自動車を安全快適に運転できるように標準装備に寒冷地装備をプラスした自動車のことです。
ちなみに、寒冷地仕様を設定している国内メーカーは、トヨタ・ニッサン・ダイハツ・ミツビシのみで、ホンダ・マツダ・スバル・スズキは寒冷地仕様の設定がありません。
では実際に寒冷地仕様は普通仕様と何が違うのか具体的にご説明します。
「寒冷地仕様車の主な装備」
○電装関連
・バッテリー
普通仕様車のバッテリーより容量が大きく、バッテリー上がりなどを防ぐ。
・オルタネーター
バッテリーを充電する機械ですが、発電容量が大きくなります。
・スターターモーター
セルモーターとも言われエンジンの始動に使われるモーターですが、電圧の高い物になります。
・フロント/リアデフォッガー
フロントガラスやリアガラスに熱線が貼られていて、電気を流すことで発熱して凍結を防ぐ事ができる。(フロントは、オプションの場合あり)
・ドアミラーヒーター
左右のドアミラーに熱線が内臓さていて、電気を流して発熱させて凍結を防ぐ。
○不凍液
・ラジエタークーラント
標準仕様車では、冷却水濃度がLLC30%に対し寒冷地仕様車はLLC50%以上の濃度なので気温がマイナス20度以上に冷えても凍結しないクーラントを使用しています。
・ウィンドウォッシャー液
マイナス40度まで凍結しない原液に近いものを使用しています。
○室内
・フロントガラス両サイドの通風口
フロントピラーの付け根部分から温風が出るようになっていて、ワイパーで雪がフロントガラスの両サイドに溜まるのを防ぐ。
・シートヒーター
運転席と助手席にヒーターが内臓されていて、シート全体が温まる。
・リアヒーター
1BOXカーなど3列シートの場合、フロントヒーターだけでは後方が暖まらないのでリアにもヒーターを追加装備しています。
○外装
・防塵処理塗装
寒冷地では、融雪剤を道路に撒くことが多い為、自動車のボディに付着すると錆びや腐食の原因になるのでソリッドカラーでも2コート塗装を施し、錆び腐食を防ぐ。
○その他部品
・ワイパー
スノーブレードと言って、ゴムの材質が柔らかくガラスが凍っても密着度が高い。
・ウェザーストリップ
ドアとボディの間にあるゴム製の部品で材質を柔らかくし厳寒期の破損を防ぎ、密閉率を向上させる。
以上が主な普通仕様車にはない、寒冷地仕様車の装備になります。
最近の車では、ヒーターリアダクト(後席の暖房効果向上)や、サブマフラー(エンジンの温まりが早く、暖気運転の向上)が標準やオプションで搭載されています。
寒冷地仕様車を選ぶポイント
寒冷地仕様車の装備は、普通仕様車がベースになり追加で装備されたものです。標準で寒冷地仕様として搭載されている装備の他に、オプションで装備されるものもあります。オプションの装備を後から搭載しようとすると高額になります。
寒冷地仕様車を選ぶ場合、寒冷地仕様の装備が純正で多く搭載されている車種がお得だと思います。寒冷地仕様の装備が最初から多く付いている場合、新車価格は若干高くなると思いますが、オプションで搭載するよりも格安で済むはずです。
例えば、RVの寒冷地仕様車を購入予定にされている場合は、各社の同クラスで寒冷地仕様の装備が純正でどれだけ搭載されているか、何がオプションなのか調べておくことが大事だと思います。
おすすめ寒冷地仕様のオプション
標準の寒冷地仕様の他にオプションでも付けられる装備があります。その中から、おすすめのオプションをご紹介します。
○リアフォグ
降雪地帯で最も怖い道路状況の一つは、ホワイトアウトです。降る雪や風で舞い上がる雪で目の前が真っ白になり、道路と側溝や歩道の区別がつかなくなり、前方を走る車のテールランプも確認出来ない状態になります。
急に止まると危険ですが、走行を続けるのも恐怖を感じます。そこでリアに赤いフォグが点いていると後方を走る車に自分の車両をアピールすることができ、追突の危険性が下がります。
また、後方を走る車両はリアフォグが目印になり追従が楽になります。濃い霧の道路状況にも適しています。真冬や濃霧での事故防止のためにも是非ともおすすめします。
○PTCヒーター(トヨタ系)
通常のヒーターは、エンジンが始動してクーラントが温まりヒーターホースを通して室内に入り、コアから温風を室内に循環させます。この場合、エンジンが温まるまで温風が出ないことになります。
しかし、PTCヒーターは熱源を電気にしているためにエンジンの温まりは関係ありません。エンジンが温まる前から温風が出て室内の温度を上げてくれます。少しの差かもしれませんが、厳寒地に住んでいる人には重要なオプションです。
車種別・寒冷地おすすめ自動車
●「軽自動車1:ダイハツ・キャストアクティバ・AWD」
軽自動車のクロスオーバーSUVのジャンルに入るキャストは、大口径タイヤを装着することで地上高を高く設定し、雪道や悪路での走破性を高めています。
一番のおすすめポイントは、ダウンヒルアシストコントロール制御とグリップサポート制御で悪路での上り下りの加速や減速をフルサポートしてくれる事です。
寒冷地仕様の装備も充実で、AWDでは初めから搭載されています。
●「SUV1:ニッサン・エクストレイル・4WD」
2017年SUV4WD販売台数No.1のエクストレイルです。
この車に関しては、安全性能・走行性能・燃費性能、全てにおいて満点を付けて良いほど文句のない車です。
特に北海道での人気が高く、北海道でのSUV販売台数もNo.1です。
ピーク時は、5ヶ月で3,000台近く販売されたようです。厳寒地、降雪地で人気があることがこの車の実績ではないでしょうか。
寒冷地仕様も全車標準装備で搭載されていますので安心の一台です。
●「ミニバン1:ミツビシ・D-5・4WD」
ミニバンとSUVが融合したような車種ですが、このクラスでは走行性能はズバ抜けています。
RV車のような車高とAWCオートホイールコントロールの走破性は、降雪地帯の深い雪道や氷った路面、悪路も安心して走行できる性能があります。
安全性能も優れているので、2000ccクラスでは一押しのおすすめ車種です。4WDは全車、寒冷地仕様標準装備になっています。